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おどるあほうの日々

おどるあほうの日々

18/03.3.22/夢十夜

◎路上日記・その18

2003年3月22日

太鼓のたたき語りのGさん企画のライブに芝居で参加した。
大学時代からの友人Sさんとの「銀粉胡蝶館」というユニット。

今回、他にも出演者がもりだくさんで、企画者のGさんが個人で出るのは時間的に難しく、Gさんとギタリスト(というくくりではおさまりきれない楽器演奏者)Tさんが私達の芝居に参加することになった。
 
20分ほどの小品で、あまり苦しまずに出来上がるだろうと思っていたのが甘かった。

脚本段階でかなり難航したのだ。
 
最初、Sさんと2人でお互い今感じていることや、やってみたい題材など話し合った。
でてくるのは「殺し」「カリバニズム」「自分自身との対峙」などなど、不穏なもの。それらを題材に、かっちりした台詞劇を作ろうとした。
だが、考えても考えてもしっくりこない。

条件もある。
ライブハウスという空間での音楽を聞きにきた人たちへのアピール。Gさん、Tさんの活かし方。
それになにより、出演者が各々忙しく練習時間がとれないこと。
 
Sさんが書いたものをやめて、私が書いたものにいったん決めてまたやめて、いよいよ時間がなく、さてどうしようとかなり煮詰まりながらふと思った。

「題材的に苦しいのはやりたくないなぁ」

1時間ぐらいあって、追い詰めたり苦しんだりする様子を丁寧に描けるならともかく、20分という短い時間。
ならば、題材はありものでも、その作品の世界観をどう立体的に立ち上げるかという工夫に集中したほうが、やるほうも観るほうも楽しめるのではないか。

そうして題材を夏目漱石の「夢十夜」に決めてからは、するすると出来上がっていった。
もともと作品に思い入れもあったし、GさんやTさんの存在も大きかった。各々がアイディアをだしていけたので、世界観にあつみがでた。

それがお客さんにとって面白いものであるかどうかは判断のしようがないけれど、本番をやり終えた後、お客さんの拍手に暖かいものを感じたので、ひとつの世界を立ち上げることができたのかもしれないと思った。


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